テストパイロットであり、民間宇宙旅行を提供するSXC社を立ち上げた起業家。そして宇宙船が完成したあかつきには宇宙飛行士にもなるHarry van Hulten(ハリー・ファン・ハルテン)は、宇宙飛行士として人々を宇宙へ連れ出すという大胆不敵な考えを持っていながら、どうしてこんなに地に足のついた人間でいられるのだろうか?彼の人生を解き明かすインタビュー3回目(全4回)をお届けする。

私は小さいときから宇宙にあこがれていました。子供のころは、いつも飛行機の絵を描いたり、飛行機の模型を組み立てたりしていました。法律で定められた飛行操縦の最低年齢である14歳のときがはじまりでした。私は多くのパイロットと出会い、やがて、地上から飛び立つことでお金を稼いでいる人がいることを知りました。「実際に自分の趣味を仕事に変えることができるんだ。なんてクールなことだ、これはすごい」と思い、そこで私はオランダ王国空軍へ志願したのです。そして、驚いたことに採用されたのです!自分の目標を定めて、一生懸命に努力するだけです。最終的にどうなるかは誰にもわかりません。私は、20年間いろいろな飛行機に乗ってスリルを味わってきました。そして現在は宇宙への旅という夢につき動かされて、毎日のエネルギーを与えているのです。

最初にグライダーに乗ったときには、どんな感じでしたか?

最初のグライダー体験は素晴らしいですよ。文字通り、違う世界に足を踏み入れたようでした。それはものすごい滑空体験で、あらゆるものが自分の背後で一気に小さくなるのです。これは驚異的な感覚です。最初のフライトのことは決して忘れませんが、最初の単独飛行はもっと面白かったです。全てが自分にかかっているのですから。

あなたがグライダーパイロットとジェット戦闘機パイロットの両方の訓練を受けたのはぴったりだったんですね。Lynxはジェット機でもありグライダーでもあるわけですから。

そうですね。グライダー飛行は、飛行技術の真髄です。特に着陸がそうです。1回で決めなければなりませんので、アクセルを踏んだらやり直すことはできません。アプローチが正しいことを確認する必要があります。一般的に言って、F-16のような高性能機で飛行するほど良い訓練はありません。何よりも楽しいということを忘れてはいけませんね。

きっと、面白いでしょうね、でも、同時にすごく怖そうです。

私はもう怖くありません。たくさん訓練してきましたから。私にとっては喜びの方が大きいです。長い時間をかけて訓練し、練習に練習を重ね、ようやく最初の搭乗でそれが現実となるのです。この時の感覚は忘れられません。特に試験飛行の時がそうですね。誰も経験したことがないことをそこで経験するのですから。もちろん、チーム全体が地上の管制室から、あらゆる動きを見守っています。「OK、ハリー。離陸して、この1年間ずっと作業してきたこのドデカイ装置をテストしてくれ。プロトタイプはたった1機しかない。ヘマするなよ。」この声はプレッシャーになります。最終的にはいつも大丈夫なのですが、プレッシャーはいつも感じています。宇宙空間でのLynxでの飛行も同じです。それも楽しみの一つではあります。

少しテストパイロットスクールについても聞かせてください。映画「トップガン」を想像してなんですが、最高にクールだなと思うんです。

「トップガン」が作られたのは1 9 8 6 年ですが、ちょうど同じころに空軍の最初のトレーニングコースをやっていたんです。当時無料のチケットをもらったので、10回は観たと思います。1つの映画で飛行学校の志願者が一気に増えたのですから素晴らしいことです。私たちは今でも「トップガン2」は作られないだろうかと思っています。

あの映画は、実際のパイロットスクールの体験にどれくらい近いのでしょうか?

砂漠から太陽が上がってくるところとか、頭上をジェット機が飛んでいくところとか、本当に素晴らしいショットがいくつかありました。ただ、もちろんのことですが、私たちが毎日何時間も勉強しているというところは画には描かれません。テストパイロットスクールは週に60時間ありますが、そのほとんどがコックピットに1 時間程度いるための勉強と準備です。単純な運転飛行では、1時間のミッションのために10時間猛勉強します。試験飛行では、それについて全てを学んでおく必要があるので、もっと長く準備に時間をかけます。あの頃は、だいたい20時間以上は準備時間があるんだと語っていました。それにしてもあの映画の力は絶大で、女の子には少なくともテストパイロットスクール通っていたんだと話していましたね。女の子はそういう話が好きですから。

プロフィール
Harry van Hulten(ハリー・ファン・ハルテン)

harryprofile.jpg オランダの航空探索・旅行会社 SXCの創始者で現COO。オランダのブレタ王立防衛大学にて工学の学士を修了した後、テストパイロットとして高性能戦闘機を含む42種類の航空機をの操縦し、総計3,000時間(うち2,600時間はF-16の操縦)以上のフライトの経験を積んでいる。EURO・NATO共同ジェットパイロットトレーニングとF-16ウェポン・インストラクター・コースを修了した後は、NASAのおアイロットの独占的な準備プログラムであるUSAテストパイロットスクールのテストパイロットに従事していた。